突然ですが、筋肉に白色とか赤色とかあるのを知っていましたか?
白筋とか赤筋とかいうのですが、白筋繊維は太く、体肢の筋に多く、瞬発的な運動に適するが、非常に疲れやすい性質を持つ。
一方、赤筋繊維は細く、咀嚼、呼吸、姿勢保持に関する筋などに多く、ゆっくり、持続的な収縮を行い、比較的疲労しにくい性質を持つ。
白と赤の色の差は筋細胞内に赤血球の赤のもとであるヘモグロビンに似たミオグロビンというたんぱく質の量によるみたいである。日本人はこの赤筋が多いといわれている。現に、マラソン競技ではいつもメダル争いをしている。逆に欧米人は白筋が多く、短距離に強い。まあ、トレーニングしだいでは、白筋か赤筋のいづれかに変化するらしいが・・・。
さて、この白筋と赤筋の違いが分かりやすいのは、白ウサギくんと野ウサギちゃんの足の筋肉で、おもに白ウサギくんが白筋からできている。これは解剖学的にも生理学的にも調べられている。白ウサギくんはキツネやタヌキに追われたとき、そのスプリントを生かしてすぐに穴にもぐりこみます。すばしっこいのです。
逆に、野ウサギちゃんは、持久力に物をいわせて走り続け、外敵から逃れる。短距離の白ウサギくん、長距離の野ウサギちゃんだ。
そういえば、白ウサギくんの方は、古事記や日本書紀の‘因幡の白うさぎ’にあるように、ワニだかサメだかをだまくらかして、頭の上をピョンピョンと向こう岸に渡ったりと、なんか‘ずるがしこい’というイメージがある。
一方、野ウサギちゃんは大草原でのどかに暮らしている‘ピーターラビットちゃん’という‘かわいらしい’感じがしないでもない。
このような、白筋と赤筋の違いは他の動物にもみられる。空を長時間飛ぶ鳥の胸筋は赤筋からなるが、飛べないニワトリちゃんの翼を動かす筋は白筋なんですって。
ぼくのことになるが、こう見えても、高校時代は陸上部だったが、長距離はめっぽう弱く短距離専門だった。だから、ぼくは、赤筋より白筋のほうが多かったのだろう。でも、皮膚の色は色白とはいえず、どちらかというと色黒である。今でもそうだが、子供のころなど、髪の毛はかなりのくせ毛で、いわゆる天然パーマというか、チリチリ頭だった。そして、夏など真っ黒に日焼けし、目だけがギョロっとしてたので、よく、‘チビクロサンボ’と呼ばれていた。ここで、『おー、チビクロサンボかあ、懐かしいなあ』という人は歳がバレる。
ところで、魚では、赤身と白身が明らかだ。ここで、赤身の代表としてマグロさんと白身の代表でヒラメくんに登場してもらいましょう。
マグロさんってすごくカッコイイですね。回遊魚だから、世界中の海を泳ぎまわり、なんだか見聞も広そうだし。見た目も流線型でスッキリしていて時速150キロで泳ぎ回っているのですから。
それに対して、ヒラメくんはどうか。回遊魚でないので、同じところにじーっとしている。世間が狭いというか、物事を知らないというか。それに何ですか、あのヒラメくんの姿。ペッチャンコじゃありませんか。それに、動かなくてもいいように、同じ側に目が付いていて、まあ、だらけているというか、ぐーたらというか。
それに、もう、変な形!あれが魚といえるか?砂地にまぎれて目だけ出してジーッと世の中から身を隠している。保護色の術とかいって、どんな色にも染まってしまう優柔不断な奴なんです。
そして、さぞかし、悠々と泳ぐマグロさんのことを妬ましく思っているのであろうなあ。ひがんじゃって、すねちゃって、あんな顔になってしまったのか。
会社などでいうと、マグロさんは‘出来るやり手部長’タイプだろうなあ。あちこち忙しく寝る暇もない。で、ヒラメくんはというと、『このぉっ!ヒラ めっ!』というぐらいだから、‘平社員’なんだろうなあ。同じとこから動かない、まさに窓際族。
それを考えると、なんだかヒラメくんのことが気の毒に思えてくる。彼だって、あんな姿になりたくてなったわけじゃあないんだろうなあ。マグロさんのように世界中を旅して回りたいと思っているのだろうなあ、・・・っとヒラメくんの味方についてやろうと思ったが・・・
いったん、海から上がって場所が料亭などになると、‘ひらめの刺身’となり、高級になってしまい、急にエラくなる。栄転である。だから、ヒトの、いや、サカナの人生ってどうなるかわかりませんなあ。ぼくもあきらめないでがんばろーっと。