毎年この時期になるとよく言われることは、「スポーツの秋」「行楽の秋」「食欲の秋」。でも、この中からひとつ選ぶとなると、「食べることしか考えていない!」と妻に言われているほど食いしん坊のぼくとしては迷わず「食欲の秋」をとりたい。

さて、秋の味覚にもいろいろある。昨年にアサヒビールが行った‘秋の味覚アンケート’によると1位は秋刀魚(支持率69.4%)、2位は栗(42.8)、3位は松茸(36.9)、以下は梨(33.9)、柿(22.1)、新米(17.3)、ぶどう(13.0)、さつまいも(8.6)、きのこ類(松茸を除く)(8.1)、銀杏(5.6)となっている。

ダントツの秋刀魚は男性も女性も1位指名だそうだ。男性は2位に松茸を押し、女性の2位は栗だった。やっぱりな、という感じ。1位の秋刀魚は納得ですね。皮がパリパリになるまで焼いて、スダチをかけて、おろしだいこんなども添えて食べる。うー、たまらんばい。しかし、きのこ類が9位というのはどうも解せない。これから鍋のシーズンだというのに・・・。おいしいのだがな・・・。

まあ、「松茸を除く」となっているので下位にランクされたのだろうが、だいたい松茸だけがどうして別扱いされているのか?。確かにデパートやスーパーなどでも松茸はザルやカゴにきれいに盛られてうやうやしく陳列されているが、えのきたけやしめじなどはラップやビニールに包まれ雑然と積まれている。

エリンギにしてもそうだし、しいたけにしても変わりはない。なぜ、松茸だけをえこひいきするのか!。えのきやしめじの立場はどうなるのか!。

確かにマツタケさんは見た目も太く黒く立派でどうどうとしている。そのてん、エノキくんなんかひょろひょろしていて体も白くどうも不健康そうだ。エリンギくんもマツタケさんに負けないほど太いが、お肌が繊細でマツタケさんのように野性味溢れているとはいえない。シイタケさんも‘どんこしいたけ’といって味も見た目も立派なのはあるにはあるが、値段ではかなわない。シメジくんにいたってはひどいもので、スーパーの店頭で‘ほんしめじ’という名で山積みされて売られているが、本当の正体は‘ひらたけ’といって本しめじではなく、偽装工作までしている‘ずるこい奴’である。

それに、マツタケさんはたった1本だけで「どうだ!」と勝負できるが、エノキくんやシメジくんなどは1本などではどうにもならず、みんなまとめて団体競技で勝負せねばならない。こうしてみると、‘松茸を除く’と別格になってもしかたないなあ。

みなさんも、たとえば旅行の広告などで、「天然温泉と松茸食べ放題!超破格1泊2日8900円!」を見つけたとき「おっ、どれどれ」となるが、これが「天然温泉とエノキ食べ放題!超破格1泊2日8900円!」とあれば行く気がしませんよね。ぼく個人でもそうです。

たとえば、仮に、居酒屋でぼくが‘エノキのベーコン巻き’をつまみながらお酒を飲んでいるとき、横の身なりのいいおじさんたちのグループが「‘松茸の土瓶蒸し’を3人前ね」などと注文した場合、どのように反応するだろうか?。

たぶん、「チッ」などと舌打ちし、次にそのおじさんたちを横目でチラッと見て、「どうせ会社のカネで飲んでんだろう?」とか「どうせ中国産なんだよね」とかなんとか思い、「エノキもマツタケもキノコに変わりはないんだよっ!」と心の中で言ってはみるが、いざ、その‘松茸の土瓶蒸し’が横のおじさんたちのテーブルにつくやいなや、あわてて残りの‘エノキのベーコン巻き’を口の中に放り込み、お勘定を済ますべく急いで席を立ってしまうだろう。

というわけで、このように‘松茸’と‘松茸を除くキノコ’というのは別々に考えないといけないのだろうなあ。でも、その松茸を除くキノコたちはこの件に関してどういう気持でいるのだろう。是非、みなさんもこの秋の夜長にでもひとつ考えてみてください