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出番を待つ間はヒマなのであった。
今日のギャラはいくらやろ
2009.7月撮






チーズではありません。QBBではありません。アメリカなどを旅していて、飲食街を歩いていると、よく店の看板でこの「BBQ」という文字を目にする。そして、日本でもこれからの季節、これをやる人たちが増えていく。何のことかというと「BARBECUEバーベキュー」のことです。

語源はというとスペイン語の「丸焼き」を意味する「BARBACOAバルバコア」からきているようだ。子供のころ、テレビで西部劇を観ていると、カウボーイや保安官が夜に野宿をしながらよく焚き火をしているシーンがあって、たいがいそこでは何か獣の肉を焼いているんですよね。

で、保安官のジョン・ウェインがベルトあるいはブーツに装着しているナイフでその肉をそのままそぎ取り、豪快にもナイフのまま口へ運ぶんでしたよね。それから、決まって水筒からお酒(アメリカだからたぶんバーボンだろう)を口に流し込むんですよね。あー、うまそうだなあ、おとなになったらやってみたいなあ、なーんてよく思ったものだ。

だが、よく思い返してみると、ジョン・ウェインは何も調味料なんてつけてなかったよなあ、味付けはどうしてたのかなあ、と考えてしまう。焼く前に塩コショウしてたのかなあ、それともジョンは味音痴でどうでもよかったのかなあ、といろいろ心配してしまう。

さて、日本でも最近、BBQが大人気である。野外で皆とワーワーと楽しめる、ということもあるが、なによりも安くつくからである。不況のなかではこれが一番なのだろう。ただ、今のひとたちはマナーが悪く、ゴミを持ち帰らない。「公園のゴミ箱に捨てればいいじゃん」とかなんとか言っているそこのおにいさんやおねえさん、考えが甘い!カラスを忘れてはいけません。

サクラの季節や天神祭りのとき、翌朝大川を散歩してみると、現場は悲惨である。食べた残りものがそのままあちこちに散乱しているわ、焼け残った炭はそのまま、空き缶ゴロゴロ、紙コップや紙のお皿は風に飛び、ひどいのになると、どこから持ってきたのかスーパーマーケットのカートと買い物カゴがそのまま放置されている。あー「美しい国、日本」はどこへいったのか!

ところで、日本のBBQと本場アメリカのそれとはかなり違いがある。まず、大きな違いは、日本では薄くスライスされた肉を使う。ロースだとかカルビだとか、いわゆる「焼肉パーティー」である。

アメリカはステーキである。T-ボーンだったり、サーロインだったり、テンダーロインだったり、カタマリですよね。向こうは肉が安く、またデカイ。まさに、丸焼き。豪快、痛快、奇奇怪怪。これぞ、BBQ!である。

次に、日本では網や鉄板を囲みながら、ビール片手に焼けた肉をそれぞれがつつきながら話しますよね。「今年のタイガースは優勝でんなあ」とか、「石川遼も若いのにやりよるなあ」なーんてね。

一方、アメリカの方はというと焼き担当が数人いて(だいたい男たち)、まず、ステーキを焼く前にBBQソースにつけます。それをバーベキューコンロに載せます。そして、焼きながらビールを飲みつつ、「ジョンの息子さんはいくつになったんだい?」とか「トムの娘さんは歯の矯正は始まったの?」とか「ボブの奥さんは最近キレイになったよな」などと楽しく会話します。

次に、焼けたステーキを食べやすい大きさにカットし、別の大皿にどんどん移していきます。その間、参加した別の人たち(ジョンの息子やトムの娘さんやボブの奥さんや犬のロッキーやその他もろもろ)はそれぞれ、ビールやワインやフルーツポンチを飲みながら少し離れたところで談笑しています。

で、しばらくしてから、彼女らはコンロの方に近づいていき、自分の紙皿にカットされたステーキやソーセージやトウモロコシなどを適当に載せて、あらかじめ用意してあったサラダやポテトチップスなんかも載せて、また離れたところで談笑を続けます。その後も、焼き担当はどんどん焼いて、カットして、大皿に、というようにすべてを
焼き終えてから、ようやく自分の分をお皿に載せ、輪の中にはいる、という具合です。

どうです?あなたはどちらのスタイルがよろしいですか?ぼくも昔ハワイに住んでいたとき、何度かBBQを体験したのだが、あれだと肉が冷めて硬くなるんですよね。もともとアメリカの肉は硬いのでなおさらである。やっぱり、ぼくは日本のように、背中丸めて焼きながら、アツアツの肉をハフハフしたり、ギンギンに冷えたビールをグビグビやりたいなあ。