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小雨の降るマンハッタン。
親子は何を語るのか。
アメリカ、ニューヨークにて
1990.1月撮





コクアに来られている方の出身地をお聞きするのは、とても楽しみである。そして、その土地ならではの言葉や言い回しを教えていただいたりして毎回喜んでいる。妻の出身地の徳島県の方言で「かんまん」という言葉がある。大阪弁では「かめへん」とでも言おうか。「いいですよ」とか「かまいませんよ」とか「OK!」とかいう意味である。「これも持って帰っても、かんまんでぇ?」「あー、かんまん、かんまん」となる。数年前に、NHKで放送された「だんだん」というタイトルの朝ドラがあったが、あれは島根県出雲地方の方言で「ありがとう」という意味である。

さて、大阪弁に「どんならん」という言葉がある。「どうしようもない」「仕方がない」などという意味である。たとえば、掃除をしたばかりの部屋を子供が散らかしてしまったとき、「せっかく、きれいにしたのに、もう、どんならんなあ」と言ったりする。

この「どんならん」、実は大阪城に関連してできたようだ。明治から大正にかけて、お城の大砲でお昼の12時に「どん」と空砲を鳴らしていた。当時の町の人たちはこの音を合図にお昼ご飯をとっていた。ただ、この空砲鳴らしも人間がやっていたことだから、日によって遅れることもしばしば。これが鳴らないと仕事の手も休めるわけにもいかない。こういうとき、「どんが鳴らんなあ」と言いあっていた。

つまり、お昼もなかなかとれず、「どうしようもない」というわけで、ここから生まれた言葉が「どんならん」だったのである。ここでぼくも言ってみよう。リフォームで仕事ができず、どんならんなあ。