これほどまでに、あちこちで「ノロ」「ノロ」と騒いだら、そりゃあ、あちこちの野呂さんは迷惑ですわ。


さて、この「ノロウイルス」はどんなウイルスかというと、昭和43年(1968年)にアメリカのオハイオ州ノーウォークという町の小学校で集団発生した急性胃腸炎の患者の糞便からウイルスが検出され、発見された土地の名前を冠してノーウォークウイルスと呼ばれ、2002年、ウイルス学会で正式に「ノロウイルス」と命名されました。

厚生労働省のデータによると平成24年の患者数は17632人。この食中毒は冬に多く発生するといいいますから、この時期気を付けましょう。


さて、このノロやインフルエンザなどの「ウイルス」と大腸菌などの「菌」とはどう違うのか?
これは、以前コクア通信でも取り上げましたが、読んでいない人のためにもう一度書きます。


そもそも、ウイルスや菌の生存の意味は「子孫を殖やすこと」なのです。そこには、菌どうしの共存はありません。
たとえば、Aという菌はBという菌をやっつけたい。逆に、Bという菌もAという菌を滅ぼして子孫を殖やしたい。つまり、生存エリアを広げたいわけです。

この理屈を利用して作られたのが抗生物質です。ペニシリンは青カビから作られました。


これら菌の増殖はとても速い。ちなみに、人間の妊娠期間は10カ月ですが、病原性大腸菌は18分です。まな板に置いたお肉に最初の菌がポンとつくと、18分後には分裂が始まります。


さて、「ウイルス」と「菌」とを同じものと考えていらっしゃる方もいると思います。でも、実は違います。別物です。


「ウイルス」は単独では増殖できませんが

「菌」は細胞分裂で自分で自己増殖できます。


今回話題のノロウイルスやロタウイルス、そしてこれから流行するインフルエンザウイルスなどの「ウイルス」は自己増殖ができないため、人の細胞に侵入し増殖します。

その他列挙すると、アデノウイルス、コロナウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、HIVなどです。彼らウイルスたちは、我々に、嘔吐させたり、下痢をさせたりして、わざと拡散させたりして、自分たちの縄張りを大きくしているんです。これはズバリ、子孫を殖やすためなのです。


一方、大腸菌や結核菌などの「菌」は自己増殖しながら人の細胞に侵入、または毒素を出して細胞を傷つけるわけです。これも、もちろん、子孫繁栄のためです。

その他列挙すると、ブドウ球菌、サルモネラ菌、緑膿菌、コレラ菌、赤痢菌、ボツリヌス菌、破傷風菌、レンサ球菌などときりがないくらい多いのです。


最後に、治療に関することです。

菌に対しては、抗菌薬、俗にいう抗生物質で対処できます。
ウイルスに対しては、ワクチンの予防接種で予防します。

ただ、ポリオ、麻疹、風疹、おたふくかぜ、日本脳炎、インフルエンザなどのワクチンはそろっていますが、ノロウイルスをはじめその他のワクチンは開発段階なので、市場に出回っておらず自己防衛するしかありません。